水蝕字跡

11行詩

染み

勿忘草と忘憂草の狭間に落ちた泡

たしかあそこに置きそして忘れた

時雨は季節も些細な出来事も流し

これ迄を懐古するように曇る切子

梅のお香に過去を想うのでしょう

いつの間にか付いた染みへの憂い

うんざりしてさらに伝えそこなう

もしもを考えすぎていたとしても

残り香だけでは思い出せないもの

でもいいよ、思い出さないままで

少なくとも私の記憶には在ります




(染みと認知症)

2016
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